車好きがちょっと無許可で集まるだけで批判の嵐、集会の自由って知ってる?

ツイッター界隈で、イオンの駐車場でちょっと車の集会をしたことで炎上しています。


これを見て思い出すのは2017年のデックス東京ビーチの有料駐車場で正規の駐車料金を支払っていたのにも関わらず主催者が逮捕された「FRESH TOKYO CAR MEET」事件です。どのような事件だったかというと以下こんな感じです。

駐車場の使用許可を得ずに改造車の集会を主催したとして、警視庁は偽計業務妨害と建造物侵入の疑いで会社員を逮捕した。当日は改造車など約500台が集まり駐車場に入りきれず、周辺道路が渋滞するなどして警察官が駆け付ける騒ぎとなった。逮捕容疑は1月12日午後5時~同13日午前0時10分ごろ、港区台場の複合商業施設デックス東京ビーチの駐車場で、管理者の許可を得ずに「FRESH TOKYO CAR MEET」と称する改造車の集会を開催し、約500台を集結させて施設の業務を妨害した他、管理者の許可を得ずに敷地内に侵入した疑い。同庁交通執行課によると高橋容疑者はインターネットでイベントを告知。施設側にイベント開催を断られていたが強行した。集会では自身が勤める会社の扱うTシャツやステッカーなども販売をしていた。同容疑者は容疑を認めているという。

車を趣味としている人ならば多分なんらかの形で一度は直面したことがある問題かと思われますが、同好の士が数人(数台)集まって立ち話をしているだけで何故か警察に注意されたりすることがあります。そしてその規模が大きくなればなる程世間ではこういうものをすぐに「無許可集会」として、あたかも違法行為のような扱いをします。まさしくこの事例が典型的なケースです。

インターネットが発展していない時代、不特定多数が特定の場所に集まるためにはほぼ「主催者」「発起人」などの形で集合告知等の呼びかけを行う主体が存在し、その集会に違法性(ないし公権力から見た場合に不都合な点)がある場合にはその主体を摘発することで、集会という行為に事実上の規制がなされてきました。

日本という国は国民の権利として「集会の自由」を保障しているのにもかかわらず、いざその権利を行使しようとすると「各種法令を遵守せよ」と義務を押し付けてきます。そしてその押し付けを疑問に感じることすらタブー視しようとします。

現代の日本で「集会の自由」という権利を行使しようとすると様々な障壁にぶち当たります。まず私有地公共地を問わず集会を開催しようとすると必ず「許可を取れ」となります。それが公に行われようとしているのであれば、規模が例えご近所さんどうしの立ち話レベルであってもです。

車の話に置き換えてみると、道路上や駐車場など「その場所に車が停車していても何の不都合もない場所」でさえ複数人数、複数台数が何らかの意図をもって集合すると「道路占用許可」が無いだの「他の利用者に対する迷惑行為」だのとあれこれ言い掛かりを付けられて解散させられます。そしてその集まりに主催者がいる場合、何故かその主催者が犯罪者扱いされて検挙されたりするのです。

ところが近年インターネット等を利用した「主催者がいない、主催者が不明」な集会が多発するようになってきました。主催者がいないと既存の法的な解釈で取り締まりを行うのはなかなか困難です。しかし、だからといって黙認するわけにはいかないようです。

わかりやすい例をひとつ挙げると「ゼロヨン」や「ドリフト」を見物しているだけのいわゆるギャラリー行為に対する取り締まりが当てはまるでしょう。ギャラリーは違法行為を見物しているだけであって、違法行為に加担、協力している訳でもないのにその場に居るというだけで必ず警察に追い払われます。それでも手の打ちようがなくなってくると、酷い場合には法令法律の一段下にある条例を制定してまでいわゆる「い集行為」を禁止してきます。

このように集会を主催することはおろか自然発生的な集団に対してまで幾重もの事実上の規制を掛け、自由な集会を阻害しているというのが公権力の基本スタンスなのです。

そこでこのデックス東京ビーチ駐車場集会事案について解説してみます。この場合主催者と呼ばれて検挙された側は確かに集会を主催したわけですが、この一件で「参加者」とみなされている人達は、営利企業が駐車場という業務形態で営業行為をしている場所、つまり「有料の駐車場」を「正規の料金を支払って利用」しただけに過ぎません。

この場所がショッピングセンターの駐車場やスキー場の駐車場など、施設を利用する事を前提とした「有料駐車場」であって、施設を全く利用していないのなら目的外使用として非難されることもあるでしょう。しかしお台場のこの民間駐車場は何らかの施設の付帯駐車場ではなく、駐車スペースを提供することで対価を得るという純粋な商業行為として有料駐車場を運営している所なのです。つまり根幹的には駐車料金という収益を得ることがこの施設本来の目的であり、利用者=駐車をしている人そのものとなります。この点が商業施設付帯の駐車場や高速道路パーキングエリアなどとは決定的に異なるということを決して見過ごしてはいけません。

もちろん駐車場の管理者は施設管理権に基づいて、不適切な利用者の駐車場利用を拒む権利があります。事実この排除手法は各種大型施設付帯駐車場や高速道路パーキングエリアにて警察と連携してごく日常的に行なわれています。もちろんその根拠は「正規の利用者に対する迷惑行為」であるということです。ですがこのデックス東京ビーチの民間有料駐車場は車を駐車する行為自体が正規の利用方法であり、その場所に利用希望者が殺到したからといってそこに違法行為や不正行為が発生しているという理屈はどう考えても成り立つわけがありません。

今回当局が「主催者」を摘発した容疑は「建造物侵入(正確には住居侵入)」と「偽計業務妨害」です。

まず建造物侵入に関して論ずるなら、それはかなり無理のある法解釈だとしか言いようがありません。施設管理者が施設管理権に基づいて退去を命じ、それに従わなかった事を違法行為として摘発、検挙するのであればそれは「不退去罪」で立件するべき事案です。料金を徴収し駐車させる事を目的とした施設に、正規の料金を支払って入場した事実をもって一方的に違法行為と断ずるのはあまりに短絡的すぎます。

また「偽計業務妨害」が成立するかどうかを判断する為にはまず「誰」が業務を「妨害」されたのかを明確に定義しなければなりません。「車を駐車させる事を目的として24時間駐車場を営業している会社」が、その駐車場が予想より利用客が増えたことで満車もしくはキャパシティーオーバーになったという事象によって「営業行為を妨害」されたという結論を導き出すのは明らかに無理筋です。

これがもしも「偽計業務妨害」で被害を受けたのが「警察」であり、虚偽やいたずら、不必要な緊急出動をさせられた事によって正常な公務の遂行を「妨害」されたという理屈であれば、まだ議論する余地はありそうです。ですが各種報道を見るとどうも今回の事案はそういった話ではなく、あくまで駐車場の営業を妨害した容疑という事になっています。であればやはり「偽計業務妨害」の構成要件を満たしているとはとても思えません。

これがもし駐車スペースが空いているにも関らず駐車場に駐車せず、施設の周囲で改造車がい集して他者に恐怖や不安感を抱かせ、駐車場の営業を妨害したというのであれば、それは「威力業務妨害」となる余地はあるかもしれません。しかしこの事案のようにその日一晩、駐車場を満車にしてしまうという現象をもってして業務の妨害となっているのかというと、それはどうもかなり怪しい話です。

もちろん警察が「容疑」をもって容疑者を「逮捕」することはあたりまえの話だと主張し、容疑者が逮捕されたあとに起訴されるかどうかは検察が判断することであって警察には関係がないと断ずる意見もあるでしょう。ですがその行いが強制力の執行として正常な行為かどうか、少しでも公正な視点から俯瞰してみたならば今回のような明らかに法解釈がわかれる事案に対して「見せしめ」的に逮捕権を濫用するなどという行いは、絶対に許されることではありません。

もちろんこれらの主張は私個人の見解であり、異論反論も多数あるでしょう。あって当然です。ですが敢えてこういった集会に対する取り締まり行為に批判的な視点を首尾一貫徹底して論じてみました。

デックス東京ビーチ駐車場無許可集会事案についてはこのような見解です。

 

ではイオン駐車場での無許可集会についてはどうなのだという点について議論してみることにしましょう。まず大前提としてイオンを利用すること、これは譲れません。イオンを利用していれば「建造物侵入」には当てはまりません。

他の利用者に迷惑を掛けないことも必須です。なので集まる場所は他の利用者が駐車しないような、駐車場の外れの方の場所を利用するなど配慮が必要です。施設の入口付近にい集するなどもってのほかです。時間については施設の閑散としている夜間なので問題はないでしょう。

最低限この2つ、施設を利用することと施設の営業の邪魔にならないこと、これを守ればミーティングしてもいきなり逮捕されることはないはずです。あとは良識の範囲内で場所を利用させていただければ良いんじゃないんですかね?問題というのは、発生しなければ問題にならないんですよ。

なんでも規制規制の世の中じゃつまらなさ過ぎます。ケインは無許可ミーティングを応援しています!(笑)

そもそもちょっと集まって無駄話するだけのことで大騒ぎしなきゃならないのって話です。でもなんでもすぐSNSに上げるのが一番良くないとは思いますね。

 

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