よく分かるガザ地区・ハマス・パレスチナ・イスラエルの話

最近ニュースでガザ地区の話がよく出てきます。でもガザ地区ってなんだ?という方も多いと思いますので、なるべく政治的バイアスを掛けないで簡単に解説してみましょう。参考にしてみてくださいね。

ガザ地区とはもともとエジプトの領土でしたが、イスラエルとエジプトが戦争してエジプトが負けた結果、ガザ地区はイスラエルの領土となりました。エジプト北端、イスラエル南側がガザ地区です。もともとガザ地区に住んでいたパレスチナ難民は戦後もそのままそこに住んでいました。イスラエルは最初ガザ地区に人や軍を配置したりしていましたが、人も軍も撤退させるのと同時に2007年にガザ地区の境に物理的な壁を設置し、ガザ地区を閉鎖しました。なので国連が物資やキャッシュ、人材その他を援助することで、ガザ地区の人達の生活は成り立っています。

ガザ地区の統治は現在ハマスが行っているのですが、なぜテロ組織であるハマスがガザ地区を仕切っているのかを説明するためにはパレスチナ暫定自治政府の話をしなければなりません。

パレスチナは大きく分けてヨルダン川西岸地区とガザ地区の2つに分離しています。聞いたこともある人も多いかと思いますが、もともとはアラファト議長という方が代表を努めていたPLOという組織が両方の地区を仕切っていました。ところがアラファト議長が亡くなったり、PLOやPLOの主体組織であるイスラエル穏健派のファタハの汚職による組織腐敗などに嫌気がさしたパレスチナ民衆は、2006年に行われたパレスチナ立法評議会選挙でなんとテロ組織ハマスを勝利させてしまいます。評議会の定数である132議席に対してハマスが74議席、ファタハは45議席ですからイスラエル穏健派であるファタハは惨敗です。同じくテロ組織でハマスと協調関係にあるPIJ(パレスチナ・イスラミック・ジハード)もハマスを応援しているので、惨敗以外の言いようがありません。

しかし選挙に負けたファタハですがうまく立ち回って対国際社会への窓口としてヨルダン川西岸地区を統治することとなり、同時にパレスチナ暫定自治政府の代表としても活動し続けます。その結果ハマスとPIJはガザ地区からファタハを追放し、ガザ地区を仕切って自分たちの自治を始めます。なので現在パレスチナはヨルダン川西岸地区とガザ地区それぞれにトップがいる状態で、それぞれが別の主義思想で活動しています。先程も言いましたがヨルダン川西岸地区を仕切っているファタハはイスラエル穏健派で、イスラエルとなんとか仲良くやっていこうという現実路線ですが、ガザ地区のハマスとPIJはイスラエル強硬派どころかイスラエルの存在そのものを認めておらず、「イスラエル滅ぶべし」という恐ろしい主義思想の持ち主です。

そしてもう一度繰り返しますが、恐るべきはハマスが選挙で勝利してパレスチナの人々の支持を得て、ガザ地区を統治しているということです。ある意味ハマスはガザ地区住人の総意(少なくとも過半数)とも言えるのです。

ですがそんなガザ地区、悪いことばかりでもありません。現在そこに住む人は200万人とも言われていますが、人口過密なのに石油が出るわけでもなく農業が発展しているわけでもなく、ろくな産業が存在しないのに毎年約10万人近い人口が増えていって現在に至ります。それは国連の援助と、ある程度の秩序平穏があるからこそです。よくイメージされている「貧困・危険」が100%正しかったら人々はスマホなんて持っていないだろうしガザ地区からエジプトとかに亡命したりしているはずです。しかしガザ地区で人々の日々の営みがあり、人口が着々と増えているということはそこには秩序があるということの証明です。

問題はその秩序がハマスやPIJによってもたらされているということです。

なにせ穏健派のファタハと違いハマスは「イスラエルぶっ殺す、あいつらを絶対この地から追い出す」それが政治的主張というか宗教的思想なので、イスラエルと和解のしようがありません。困りました。

という感じで今回はここまで。

 

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