GRヤリスの4WDシステムとRCオプションのトランスファー詳細解説(3)

はいどうもバーチャル車屋さんのケインです。

大変遅くなりましたが今回は皆さんにお詫びしなければなりません。GRヤリスの4WDシステムについて以前解説記事を書いたのですが、内容が間違っていました。

簡単に書くと「フロントが1輪もしくは2輪空転しても、リアは最低1輪は回る」が正しい表記になります。謹んでお詫び申し上げます。

具体的にどういう挙動になるかを実験した動画がありましたので、そちらを引用します。

これはフォードフォーカスRSとGRヤリスの比較動画です。このGRヤリスのグレードは国内で言うところのHPに相当すると思われます。前後ともにトルセンLSDが入っている状態です。タイヤにローラーを噛ませて意図的に空転させて、4WDシステムがどう働くかをテストしている動画になります。

長い動画になるのでポイントで解説します。3分20秒、フロント1輪リア2輪が完全にローラーの上に乗って空転する状態(つまりスタックした状態)で脱出を試みています。フロントLSDはトルセンなので片側が空転したらもう片側は基本的にうんともすんとも言いません。でも何故かリアはトルセンLSDなのに2輪とも駆動しています。4輪中3輪は回るというのが正しい答えになります。なおこれはモード設定で違いが出ており、ノーマルモードだと脱出が多少容易になっています。エキスパートモードや横滑り防止OFFだと制御が入らないので激しく空転して脱出できません。スポーツモードやトラックモードでも脱出が困難になっています。この現象だけ見るとブレーキLSDの介入があるのかな・・・との印象を受けるのですが、はてさてそんな話は聞いたことが無いですし謎です。

次に5分6秒、フロント2輪リア1輪が完全にローラーの上に乗って空転する状態での脱出です。これだとフロントは片輪だけ空転しそうなものなのですが、なぜかトルセンLSDなのに両輪空転しています。リアは片輪だけ空転していますので、これまた4輪中3輪は回るという現象になっています。そして一番トラクションの掛かってほしいタイヤだけが回らないという・・・また、これもモード設定で大きく違いが出ており、ノーマルモードが一番脱出が容易でエキスパートモードや横滑り防止OFFだと脱出困難というのも先程のテストと同じ結果になっています。

この挙動だけ見ているとやはりESP(横滑り防止)制御の中に、ほんの僅かにブレーキLSDに似たような制御が含まれているのではないかという気がしてなりません。

ちなみにここ重要ですが、前後ともイニシャルトルクの高い機械式LSDを装着していた場合はいかなる状況であろうとも問答無用で4輪とも回ります。なので時代遅れと言われようともイニシャルトルクをバッキバキに効かせた機械式LSDが必要になるのです。具体的に言うとクスコのタイプRSでRSスプリング全増しオーダーがお薦めです。クスコのタイプMZは一見イニシャルトルクがはるかに高いので良さそうですが、これは使っているうちにイニシャルトルクが落ちてくるので頻繁にオーバーホール出来る人向けです。そんな人は競技をやっている人以外にいないと思いますのでやはりイチオシはイニシャルトルクの落ちないRSです。でもRSのリアは出荷時に既にスプリング全部増しになっている気配が(要確認)・・・。OS技研のLSDはデュアルコアだったらイニシャルが低くてもきっちり4輪回る素敵な仕様になっていたのですが、そうじゃないのでスタック時の性能は・・・

色々難しいGRヤリスの4WDシステムですが、また新たな情報が入り次第お伝えいたします。

 

 

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