モーターファンフェスタ2022でのフィガロとWRX(VAB)の追突事故について

本日富士スピードウェイで開催されたモーターファンフェスタ2022で大きな事故があった。

フィガロの外見をしたS2000がデフトラブル(もしくはアンダーパネル脱落?)を起こしスロー走行しているところに、ストレートを全開走行中のVABが追突。大クラッシュとなった。イベントのタイムスケジュール的には「魅惑のデモランpart1チューニングカー全開アタック&現役旧車富士デモ走」という枠だ。

5時間30分45秒からのマナピー(鈴木学)のイベント趣旨解説も合わせてご覧頂きたい。そしてここで注意したいのは速度差の大きい混走カテゴリーだということだ。この事故が発生したストレートは晴天であれば時速200キロを楽に超える速度が出ているポジションだ。そこをスローダウン走行するということは追突時に速度差が100キロ位あっても不思議ではない。動画を見る限りそこまでではないが、かなりの速度差はあった。

走行会等の基本として、トラブルやクールダウン時、ピットインを予定している時などはコースのピットロード側を走ることとなっている。FSWでいうと右側となる。このフィガロはストレートで加速体制に入れないのであればコース右側に沿って走るべきだった。

一般的な交通事故の感覚で考えると追突事故は追突したほうが100%悪いと考えがちになるが、サーキットという場所では全開走行している速い車のほうが優先であるというのを忘れてはいけない。例えばメインストレートを全開で走ってきた車両の前にピットロードから出てきた低速の車両がレコードラインをまたいでふらりと左側に出てきた、なんて場合は追突されたほうが悪いということになる。

そこまで極端な例でなくてもメインストレートというのは基本的に皆アクセルを踏み込んで加速しているという前提で序列が成り立っている。ただしもちろんストレートが遅い車もいるだろうし、そういう場合は速い車のほうが右側から追い越していくのが走行会のルールだ。ここで注意しなければならないのはレースの場合、遅い車両にはブルーフラッグが提示されて遅い側が譲らなければならないという一見正反対の事例が発生することだ。レースではない走行会等ではうかつに車線を変更して進路を譲るという行為はやってはいけない。なぜなら譲る側も譲られる側もプロではないので、お互いが予測できない行為をするのは事故に結びつくからだ。なのでアマチュア同士の走行会等では、一生懸命走っても遅い車は余計なことをせずちゃんと一生懸命走って、速い車が勝手に抜いていってくれるのを待つのが正しいということになる。

そして今日の事故である。この場合雨天のデモランということもあり、参加者は安全マージンを十分に残した安全なペースで走るべきであっただろう。ただしそれとメインストレート上をスロー走行することは意味が全く違う。ペースがスローだったとしても加速状態にならない車両(今回の場合はフィガロ)はコース右側を走るべきだった、というのが私の意見だ。なので過失はフィガロ側にある。もちろん追突したVABも、どこを見ていたのかという疑問はたしかに残る。だが追突したくて追突する人はいないであろう。VABにも雨天、混走、視界不良という要素に対して十分な配慮を図らなかった落ち度もある。そのような事を考えればこの事故の責任の落とし所としては「サーキットでの事故はお互い自分持ち」というありふれた結論に達してしまうだろう。

追突されたのにフィガロの人がかわいそう、という読者の心情は理解できる。だがサーキット走行とはそういったリスクも受け入れた上で行うべき行為なのだ。だから明確なルールやそのサーキット独自のマナーなどが存在している。「サーキットでの事故はお互い自分持ち」という暗黙のマナーもその一つだ。今はただ、フィガロとVABのドライバーの無事と、一日も早い回復を願うだけである。

 

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