ブースト圧が高くても馬力が上がるわけではない!?ブーストアップとタービンの関係

今日はブースト圧が高ければ高いほど馬力が出るという巷の誤解について解説していきたいと思います。ただ大前提として、同じタービン同じ仕様であればブースト圧は高いほうが馬力は出ます。そうではなくて、ノーマルタービンでブースト1.5キロ掛けていても、社外の大きいタービンのブースト1キロより馬力が出ないという理由についての解説です。

タービンが違っても同じブースト圧が掛かっているなら、エンジンに入る空気の量は同じでは?という疑問が出るのは当然といえば当然です。では簡略化したターボエンジンの図を見てみましょう。

タービンは青色のコンプレッサー側と赤色のエキゾースト側の2つの風車から成り立っています。この図を見るにあたり一番注意してほしいのは、吸気抵抗でも排気抵抗でも一番抵抗になっているのはタービンの羽根の部分であるということです。もちろんコンプレッサー側は排気側からの軸で高速回転している扇風機状態になっていますので、実際には抵抗ではなくここで加圧しているわけですが。

そしてブースト圧というのはタービンからエンジンに入る前の空気の圧力のことを指しています。ここでも注意してほしいのは、実際に空気が入ってきている量を見ているのはエアフロであって、ブースト圧は圧力を見ている、そして空気量とブースト圧はイコールではないという点です。

と言うと「ブーストが高いんだから空気もたくさん入っているんじゃないの?」と思われる方も多いと思います。車の仕様が完璧に同じでブースト圧だけが高いのならそのとおりです。ですがマフラーが変わっていたり、タービンが変わっていたりするとその前提は大きく崩れてきます。
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それを説明するために、上の図をさらに超簡略化した図をご覧ください。

タービンをコンプレッサー側とエキゾースト側に分離して、給排気を一直線にしてみました。この図で例えばタービンが同じ量空気をエンジンに送り込んでいるのに排気側(省略していますが例えばマフラー)が物凄く細くなっていて、まるで栓をしてしまっているような状態になったらブースト圧はどうなるでしょう。

同じ量の空気が入ってきている時に出口を塞がれたらブースト圧は上がります。

エンジンパワーは入ってくる空気量で決まるので、単純に言うと見かけ上のブースト圧が上がったとしてもパワーは変わりません。もちろんマフラーに栓をしたならタービンのエキゾースト側の回転が落ちるので結果としてブースト圧も下がりますが、ここではあくまで同じだけ空気が入ってきたらという前提でのお話です。

ここまでの話が理解いただけましたら、次はいよいよタービン交換の話に進みます。タービンサイズを大きくするということで何が変わるかというと、先程話したマフラーの栓の話と同様に排気側の排気抵抗が大きく減ります。減るということは、エアフロ測定上同じだけの空気が入ってきても、抵抗が少ないわけですからブースト圧は下がります。

逆説的な言い方をすれば、同じブースト圧でもタービンが大きければ吸入空気量は増えてパワーが出ます

実例で言うとトヨタの名機1JZエンジンで、ノーマルタービンで無理やりブーストアップしたとしてもブースト1.3キロでだいたい350馬力が限界です。そこでタービンを大きくして、例えばT78タービンに変更したとすると、ブースト1キロしか掛けなかったとしても400馬力前後は出ます。1.3キロ掛けたら500馬力かと。

ブースト圧というのは目安です。もっとも、一番わかり易い目安であるのは間違いないのできちんと理解した上で語りたいものです。

 

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