明らかになってきたGRヤリスの2つの弱点?

はいどうもバーチャル車屋さんのケインです。

あちこちでそろそろ実戦投入が始まるGRヤリスですが、気になるウィークポイントの話もちらほらと出てきました。今回はその弱点?について解説します。

1つ目はITCCの過熱です。国際格式の高速サーキットで意図的にリアをスライドさせ気味に走行を続けたところ、ITCCが過熱して警告が表示されたという情報が入ってきました。警告は2種類あります。

AWDシステム高温 2WD走行に切りかわりました という表示

過熱のためAWDシステムが一時解除され、2WD走行に切り替わります。低速で走行し、安全な場所で停車してください。警告メッセージが消えれば、問題ありません。

AWDシステム高温高負荷走行を控えてください という表示

AWDシステムが過熱している状態です。低速で走行し、安全な場所で停車してください。警告メッセージが消えれば、問題ありません。

どちらもクーリング走行ではメッセージは消えない(消えにくい?)模様。表示が出たらおとなしくピットに戻り停止するしかなさそうです。

S耐に出場したGRヤリスは等速トランスファーでしたが、この手のトラブルは出ていませんでした。どうやらスポーツモード限定で意図的なテールスライドを多用できる高度なテクニックを持ったドライバーが、そういった過激な走りで高速サーキットの連続周回を重ねた場合という限定的な状況でITCCが許容温度を超える場合があると見たほうがよさそうです。非等速トランスファーのほうがこの症状が出やすいかどうかはまだ症例が少ないので断定しかねるところですが、車速が速ければ速いほど非等速トランスファーではITCCに負担が掛かるのはあきらかですのでどの程度の安全マージンがあるのか不明なところです。個人的にはドライビングの楽しさという観点から非等速トランスファーをお勧めしているので、この問題は今後も注視していきたいと思います。

 

2つ目ははジムカーナ競技仕様に仕上げられたGRヤリスの等速トランスファーが破損したという事例です。トランスファー内部のリングギアが欠けていました。

この車両は前後とも社外機械式LSDでガチガチに固め、タイヤもハイグリップを履いた完全競技仕様です。さてトランスファー破損の原因ですが、巷では材質の強度不足、不良ロット、バックラッシュ調整ミス等いろいろな説が上がっています。しかし私の個人的な意見としてはサイドブレーキターンの多用ではないかと睨んでいます。もちろんサイドブレーキターンを繰り返しただけでぶっ壊れてしまうトランスファーにも強度的問題はあるのですが・・・

サイドブレーキを引くとITCCはフリーになりFFに近い状態になります。そこでリアタイヤをロックさせタイトターンをクリアするわけですが、その後サイドブレーキを戻した時の挙動を考えてみましょう。フリーになったITCCは再びロックの状態に復帰しますが、その時前輪と後輪の回転差を吸収してストレスを受けるのはITCCとトランスファーの両方です。私の予想では、ITCCのほうが想定外に強すぎて、機械的ストレスが全部トランスファーのリングギアに行ってしまったのではないのかと推測しています。

もしこのような事例が多発したら、トヨタはどう対応するでしょうか。私の予想では物理的な対応はせず、ソフトウェア的対応としてサイドブレーキを下ろした後のITCCの制御(ロック側に回復)のテンポを遅くして、なめらかに前後輪が繋がるようシステムに書き換えると思います。それは逆に言うとサイドターンをした後、アクセルを入れてもリアタイヤが巻かなくなるということですが、そういう対応になるのが一番可能性が高そうです。

 

弱点が出てくるということは何も悪いことではありません。その部分が改善されたり対策法が確立されるということは、車の完成度が高くなっていくということです。それに今のところ上記の2つは結構特殊な状況下でのトラブルなので、一般オーナーにどのくらい影響が出るかまだまだ未知数です。オーナーの方は安心してGRヤリスを楽しんでください。

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