新城ラリー2021の事故から考えるラリーとダートラの違い

はいどうも、なんちゃって国内A級ライセンス所持者のケインです。

現役を退いて久しいのですが、先日、全日本選手権の新城ラリー2021で大きな事故があったようです。その事が色々と物議を醸しているようですので、まったくの部外者の立場から見た意見などを書いてみます。

まず何が起きたかを簡潔に書きますと、1位を走行していた選手の車両がSS6走行中、大雨によるハイドロプレーンでコントロールを失い路外に転落、横転。ドライバー、コ・ドライバーともに大怪我を負い、救急車の到着が運営の不手際で遅れたというのが事の顛末です。

SS6とはなにか、というから説明からしますとラリーではスペシャルステージと呼ばれるタイムアタック区間があり、その日の6番目のスペシャルステージ(S・S)なのでそれをSS6と呼称しています。ダートトライアル(ダートラ)と何が違うんだというと、ラリーの一部だけを切り取ったものがダートラとも言えます。完走してもしなくても同じコースを2回走ったうちで一番速く走った人が勝つのがダートラです。ラリーは完走しなければいくら速くても勝者になれません。そこが大きな違いです。

物議を醸しているのは1位を走行していた選手がyoutube等のネットメディアで「大雨の中競技を継続した主催者の判断が悪い」「コントロールの限界を超えたのはドライバー(側の問題)ではなく路面状況のほうなのに」との発言をしており、それに同調した人達が安易な主催者叩きに興じているところです。

リンクは貼りませんがyoutubeで「新城ラリーのクラッシュについて」で検索するとその選手のコメント動画が出てきます。不思議なのは、その動画中で一瞬だけオンボード動画が映し出されているのですが、肝心要の「誰がどう見ても危険な」道路が豪雨で川になっているストレート区間と事故が起きた左カーブ部分の走行動画が一切開示されていないことです。そんなに危なかったのならその場面を公開すればいいのに。

競技にクラッシュは付き物ですが事故でコ・ドライバー(助手席のナビゲーターの人)が死んだら責任は間違いなくドライバーに発生します。今回はドライバーよりコ・ドライバーの方のほうが動けないほどの重傷だったのですが、SS6を中止してでもエントラントの安全を第一とすべきだと主張するのなら、それはそれとしてまず二次災害によるコ・ドライバーへの危険を防ぐためにドライバーが命がけで最大限の安全措置を講ずるべきでした。

ルールでは三角停止板を表示すること、SOSボードを出すこととなっていますが命の危険があるというのならそれ以外にも発煙筒を焚いて後続車に危険を知らせるなどという緊急的な方法もあったはずです。タイムアタックに100%全力を出せても安全マージンの確保や緊急時の対応に全力を出せていないのでは全日本選手としてお粗末としか言えません。ボードがどうしても出せない場合のみジェスチャーで置き換えることが出来ますが、ジェスチャーを出したからOKではなく優先順位としてはあくまでボードが優先です。そしてSOSボードの代替ジェスチャーは胸や顔の前でバッテンではなく、頭上で高らかにバッテンです。

後続車の対応にも問題があったかもしれません。SOSボードが出ていないということはSOSボードを出すことすら出来ないクリティカルな状況かもという想定は必要でしょう。ですがドライバーご本人が言っているように、「(ドライバーというものは)スタートしたからには一番速く走れるように努力する」ものですのでそこで止まれないということもあるでしょう。その点については誰もSS6の事故現場通過時のオンボード動画を公開していないのでなんとも言えません。

オフィシャルの対応にも問題があったのも事実です。救急車を要請した時点でスタートを止めて、コースにすぐ救急車を入れるべきでした。

でも起こった事故は基本エントラントの自己責任でしょ。これで万が一コ・ドライバーが死亡したとしてそれでも主催者が悪いなんて呑気なこと言ってられるのでしょうか?ステアリングを握る者がその責任を負わないで一体誰が負うのですかね。無事に完走が最優先、それがラリー本来の姿のはずです。

この話とは別件なのですが、クラッシュした後すぐイグニッションをOFFにしない(するのを忘れる?)ドライバーも結構見かけます。ルールやレギュレーションで決まっていなくても知っていて当たり前であるべきことを知らない人がいるというのは残念なことです。

なんだか2019年の鈴鹿8耐のオフィシャル批判を思い出させるような、もやもやとする一連の騒動でした。

2021/03/28 23:40追記

オフィシャルから事故の公式報告書が出ました。それを読むとSS6では速やかに赤旗が提示され、当事者が言うような「どんどこどんどこ後ろから(競技車両が)来て」いつまでも救急車が入れなかった、ということはなかったのがわかります。確かにゼッケン19以降も3台程度コースを走行していたので報告書ではわからない不十分な部分がありますが、赤旗提示、競技中断後は全車完全なスロー走行でしたので救急車の通行を阻害した事実はないように思います。

一部引用しますが、詳細はリンク先のpdfファイルをご確認ください。

引用元:http://www.shinshiro-rally.jp/_src/3301/新城ラリー2021_SS6_報告書_20210328.pdf

 

新城ラリー2021の事故から考えるラリーとダートラの違い” に対して9件のコメントがあります。

  1. 匿名 より:

    >競技中断後は全車完全なスロー走行でしたので救急車の通行を阻害した事実はないように思います。
    救急車が少なくとも6分足止めされたって記載されてますけど・・・。

    これが安易な選手批判ってやつですか?

  2. unlimitedracingjapan より:

    >>匿名さん
    「警察が対応して」と書いてあるから安全確認のために警察が止めたんでしょ?
    いずれにしても運営の現場ではそれぞれがその時のベストを尽くしているのに、後から結果だけ見て批判するのが安易な批判ってやつですよ。
    まあ個々人が意見を言うのは自由であるべきだし、それを誓約書を盾にして封じ込めるのは間違いだと思いますがね。

  3. シロートドライバー より:

    コメント失礼します。
    事故にて怪我をされた選手には一日も早い回復とお見舞いを申しあげます。
    超シロートの私なら大雨など路面状況悪ければスピードを落としてギリギリの所で事故をしない様に走るけど…最下位ですが。路面状況が理由?何言ってるのか???スピード出てなければハイドロ起きないのでは?運転技術大丈夫なの?事故して文句を言うそんな小さい人間は全日本走ってないでしょ?ラリーってそんなにショボイ競技なの?しかし何があろうと主催者の判断した事に従わないと何事でもですが成り立たないと思うし、不服があれば書面で主催者へが一般常識ではないでしょうか?しかし記事から主催者が叩かれる理由がよく分からないな〜

  4. unlimitedracingjapan より:

    >>シロートドライバーさん
    コメントありがとうございます。記事の書き方が不明瞭でお恥ずかしい限りです。
    当事者ドライバーの方の動画()のコメント欄をあわせてご覧いただくと、主催者側を批判している人の意見が多く見られますので参考にしてみてください。

  5. 匿名 より:

    >unlimitedracingjapan
    コースに車流してたから警察が止めたんでしょ?
    SSは対向車来ないこと前提なんだから、徐行だろうと車入れてたらゴールから救急車入れられないよ。

  6. unlimitedracingjapan より:

    >>匿名さん
    赤旗出てSS中断後に移動している間は競技じゃなくて道交法遵守よりさらに安全運転の単なる低速の車でしょ。
    それ一般道で対向車が来るからって救急車走れないとか言うの?
    いや言うのは警察の自由なんだけど、FIVが命に別状があって一刻を争う状況と判断していたら警察も救急も運営も最初から別の対応したのでは。
    今回の対応で、救急車が遅いとか言ってる人は失敗を棚に上げてヒステリックになっているようにしか見えませんね。

  7. シロートドライバー より:

    記事は毎回わかり易く内容もよく伝わっております。この件で主催者が叩かれる事が納得いかなくてコメントさせて頂きました。お粗末動画見ましたが最悪!でした。
    これからもブログ楽しみに応援させていただきます。

  8. 匿名 より:

    問題になっているからこそ事故発生SSの動画が公開されないのでは?警察が介入しているのであれば尚更。

    と素人ながら思います。

  9. unlimitedracingjapan より:

    >>匿名さん
    問題になっているというより問題提起している、ですよね。
    問題提起しているのにその根拠となる動画だけは公開しないのというのでは辻褄が合いません。
    多くの人をすでに巻き込んでいるのですから、今後のモータースポーツのあり方の是正のために「危険だった」と主張するならその根拠をきちんと提示して広く世間に問題提起するのが筋ではないかと。
    そうすることでより説得力が増すというものです。

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