部品取り車を個人が解体するのは違法?合法です

はいどうもケインです。

今日はyoutubeで面白いテーマの動画を見つけたので、それについて解説していきたいと思います。旧車などに乗っている人にとっては切実な問題、部品取り車から自分で部品を外したら違法になるのかならないのかというお話です。

GOODSPEEDVISIONさんの動画ですね。結論としてしてはこの動画で言われているように「違法ではない」のですが、解釈が間違っています。個人だから、事業じゃないからとお目こぼしをいただいているのではありません。この問題、実は2005年1月1日の自動車リサイクル法施行前から勃発していた議論なのです。この法律を立法しようとしていた経済産業省の官僚の頭の中には、個人が自分の敷地の中に貴重な部品取り車を何年も保管しているなどという執念とも呼べるマニアの実態というものがまったく認識されていなかったのが混乱の原因です。解体業者は最初貴重な部品が手に入ると大喜びしていましたが、困ったのは経産省です。貴重な車の部品取り車は国民の貴重な私有財産であるのに、その私有財産の利用に制限を掛けるなどという法律がそう簡単に許されるわけはありません。憲法判断として最高裁まで争ったら確実に負けます。

そこで彼ら経産省は考えました。自動車リサイクル法は「使用済自動車」に対して制限をする法律です。ですが使用済自動車の定義があいまいであるというところに目をつけました。

法律上だと「自動車リサイクル法では、自動車としての使用(倉庫としての使用その他運行以外への 用途への使用を含む。) を終了したものを「使用済自動車」と定義」すると定められています。その「自動車としての使用を終了」がポイントなのです。これは単に一時抹消したとか事故で修復不能になったとか、そういう「車の状態」で定められるものではありません。ではどういった状態が「使用を終了した」が判断されるのか。それは「所有者が使用を終了したと判断したら」その車が使用済み自動車となるという解釈を定めました。

つまり所有者が「この車(フレーム)はいつか将来的に乗るんだ(直して乗るかもしれない)」と思っている限り、その車に自動車リサイクル法は適用されません。適用されない以上部品取りしようと何をしようとそれは自動車リサイクル法とはまったく関係ない問題になります。そしてそれは最終所有者が個人であろうと法人で営利目的であろうと一切関係ありません。車検証の一時抹消の名義が個人であっても、譲渡証が付いていて譲受人が法人になっていればその法人が「使用をまだ終了していない」と主張しているあいだは部品を取ろうと何をしようと自由なのです。もちろん法の趣旨でもあるフロンの大気開放やオイル等の土壌浸透などが著しく発生していればそれはそれで別の法律問題となるでしょう。ですが「ヤミ解体屋」みたいな仕事をしていない限りそういった問題にはならないです。経産省の担当部署に当時電話して確認しましたから間違いないです。

そうじゃないと例えばR31スカイラインで有名な「R31ハウス・シバタイヤ」さんなんかは営業できませんよね。R31ハウスは解体業の許可なんて得ていないはずです。

ちなみに経済産業省製造産業局自動車課長、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室長連名で平成17年6月30日付事務連絡で詳しく解釈が出ています。リンクも貼っておきますが抜粋して要点のみ書きます。

(前略)使用済自動車の解体は、法第60条第1項の許可(解体業の許可)を受けた者でなければ、これを行うことはできない。なお、同項の許可を受けた解体業者は、法第65条の規定に基づき、解体業者である旨の標識を掲げる義務を負っている。(中略)ここでいう「使用済自動車」及び「解体」は以下のとおり解釈する。
・「使用済自動車」とは、法第2条第2項において、「自動車のうち、その使用(倉庫としての使用その他運行以外の用途への使用を含む)を終了したものをいう」と規定されており、使用済自動車から何らかの部品を取り外す行為(いわゆる部品取り)はすべて解体行為とみなす。
・使用済自動車であるか否かは、一義的には自動車所有者が判断するものである。しかしながら、いわゆるハーフカット、ノーズカットを行う場合は、同行為を行う前の時点で既に使用済自動車となっているものと整理しており、これらの行為は解体行為に該当する。このため、ハーフカット、ノーズカットを行う者は、解体業の許可を有していることが必要であり、かつ、電子マニフェスト報告、エアバッグ類の回収等の所要の行為義務を果たす必要がある。

つまりハーフカット、ノーズカット等を行う場合は問答無用で使用済み自動車として扱われますが、そうでない場合の使用済み自動車かどうかの判断は所有者が判断することとなっており、繰り返しになりますが使用済み自動車ではない車(使用過程車)からの一時的な部品取りは自動車リサイクル法の適用範囲外となります。つまり部品を再使用しようがどうしようがそれは個人の財産なので自由にしていいということなのです。なので部品を取る車は誰かに聞かれても必ず「使用過程車」であると答えないといけません。使用済み自動車と答えてしまったら、その瞬間から部品取りは違法になってしまいます。

常識的に考えてください。何十万円も出して購入した車高調や、100万円以上掛けてチューニングしたエンジンやタービン、これらを何故ただ同然で解体屋さんにくれてやらないとならないのか。自分のものは自分のもの、そうでしょう?自分の財産を自分が処分するのは当たり前です。自分で処分できない部分を解体業者に処分してもらうために先払いで「自動車リサイクル料」を支払っているのですから。

という感じで、逆説的な話になりますが「使用済み自動車」ではない自動車とその部品については私有財産ですので部品を外そうが付け替えようが自由という結論でした。んで前述しましたが抜け殻みたくなった車でも「自動車リサイクル料」を預託してあるので、解体業者さんは文句を言いながらでも受け入れてくれるはずです。受け入れないとなったらそれはそれでパラドックスになるので。だって適正に処分させるために先払いで自動車リサイクル料を納めさせているのでしょう、経済産業省さん?

ちなみに上のGOODSPEEDVISIONさんの動画に下記のようなコメントをしました。

>いつも楽しく拝見しています。部品取り車のパーツ取りについての解釈が間違っているので僭越ながらコメントさせていただきます。個人でも法人でも営利でも「使用済自動車」ではない車から部品を取るのは合法です。業として行う場合の許可が必要なのは「使用済自動車」からの部品取りを行う場合のみです。 使用済自動車かそうでないかの定義は「所有者が使用済みと判断した」か否かの一点です。たとえフレームだけになっていても持ち主がいつか直すつもりがあると言えば、その車は使用済自動車には当てはまらず、従って自動車リサイクル法の適用を受けません。

するとここのリンクを貼っていたせいか見事コメントが非表示になってしまいました。がっくりです。

2023/09/08

シュンヤのガレージライフさんでも廃車からの部品取りについて動画内で言及がありました。

ここでもコメントをしてみますが、またブロックされるのでしょうか。ドキドキです。

 

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