『MT免許を保有している高齢ドライバー御用達のセダンなのに「MT」が設定されないワケ』のウソ

今日はweb cartopに掲載されたコラム、『MT免許を保有している高齢ドライバー御用達のセダンなのに「MT」が設定されないワケ』のウソについて論評していきます。元記事はこちら↓

MT免許を保有している高齢ドライバー御用達のセダンなのに「MT」が設定されないワケ

要するに需要がないところに開発コストを掛けられないでしょ?という趣旨なのですが。実はそれは大嘘です。需要がそれほどないというのは事実でしょうが、それにしてもAT比率が高すぎるのは単純に「MT車が売っていないから」です。そしてコストの問題にすり替えているところに大きなウソがあります。

現代の自動車は将来的な自動運転を目指してありとあらゆる操作を電子化しています。いわば運転のデジタル化です。ところがMTはそれに逆行するアナログ技術。相性は最悪です。

相性が最悪なものをデジタルで制御しようとすると膨大なコストが掛かります。スバルのWRX STIなんかはその典型で、インプレッサから続くEJ20エンジンの系譜なのにモデルチェンジごとに走りを追求した改良を加えまくった結果、価格も高騰。インプレッサはGDBで完成形と言っても過言ではないのですが・・・

少し話が脱線しましたが、WRX STIのような高度なデジタル制御とアナログの両立なんてものを考えないのであれば、MT車はただクラッチとシフトをアナログで直接制御してやるだけで事足りるのです。ミッション本体もATのようにいちいち新設計する必要がなく、アルテッツァの6速ミッションを改良して86/BRZに搭載したように基本コンポーネントは共通でもぜんぜん問題ないのです。だってアナログですから。

問題はアナログ制御と割り切って車を開発してしまうと、今どき流行の燃費対策だとか運転支援システム辺りを組み込むことが困難になる、つまり商品力(と販売価格)が下がってしまうのでメーカーは開発したがらないのです。商品力は別問題として、販売価格が下がることはMT車をわざわざ選択するユーザーにとって得でしかないはずなのですが、今度はAT車を購入するユーザーから文句が出ます。何でATかMTかだけでそんなに車の値段が違うんだ!と。今どきはATのほうが燃費も良いし安全で快適なんですよと説明しても理解してくれないのがユーザーというもの。それならMTなんて売らなきゃいいやとなるでしょう。現にそうなっています。売っているのは軽トラックとか商用車ばかり、しかもそれらの車だとやはりATよりMTのほうが価格設定が安いのです。

しかし昨今の高齢ドライバーが起こしているアクセルとブレーキの踏み間違いによる痛ましい事故が多発している状況を打破するために、ぜひ再びMT車の復活を願うのです。AT車なんて遊園地のゴーカートみたいなですよ。高齢になってMT車の操作が出来ないほど衰えたらもう運転してはダメって事にすれば諸々の問題も一発で解決ではないですか。え、却下?そうですかとほほ。道具が楽になればなるほど使う人間がダメになるという典型ですな。

そんな感じでまとまりもなくまた次回。

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