バイクで冬の宗谷岬へ!二宮祥平ホワイトベースを応援する独り言

はいどーも。バーチャル車屋さんのケインです。

今日も北海道はあたり一面雪模様です。まあ北海道とはいっても苫小牧市や函館市と、岩見沢市旭川市あたりでは「なにこの別世界!?」というくらい冬の厳しさが違うのですが、北海道民以外のバイク乗りの中にはごく少数ながら「銀世界をバイクで疾走して元旦を日本最北の宗谷岬で迎えるんじゃ~!!」と、極めて冒険心あふれているというかチャレンジャーな方がいます。宗谷岬に無事辿り着く台数は二桁台だと思うのですが、北海道在住のバイク乗りからみれば「なんという命知らずな・・・」というライダーがこの季節の北海道の路上に間違いなく一定数存在します。

人間とは冒険する生き物です。命がけの冒険を否定するのは人類の発展の歴史を否定するのと同義です。かつて南極大陸に足を踏み入れて、ビタミン不足で全滅した冒険者達がいたように、内地(笑)からはるばる北海道は宗谷岬を目指しバイクで雪道を踏破しようとする冒険者がいても何の不思議もありません。

そして今年もまた一人の男が宗谷岬に向ったのです。有名youtuberというか有名バイク店ホワイトベースの代表、二宮祥平氏その人です。youtubeのチャンネル貼っておきますね。

https://www.youtube.com/channel/UC0mhOaiTObQ9hsCIBQM7Hnw

氏が通称宗谷アタック、ざっくり言えばバイクで冬の北海道を宗谷岬まで走って行って新年をそこで迎えるというチャレンジを動画で発表したときには賛否両論というより否定的な意見が多かったように思います。

 

私個人としてはバイクという乗り物自体が危険な乗り物である以上、同じバイク乗りとしては他のバイク乗りに対して「危険だからやめとけ」「他人の迷惑を考えろ」等々言う筋合いなどないと思っています。なので危険を承知、他の交通の迷惑になるのも承知であるならばどうぞ頑張ってください、というスタンスです。だって「迷惑」とか考え出したら冬だろうが夏だろうがバイクという乗り物自体を「迷惑」と敵視している人は少なからず存在する訳ですし、そんなことをいちいち気にしていたらバイクなんて乗れないじゃん!という理屈です。もう立場が違えば価値観なんて180度変わるものでしかないので、他人の迷惑を過剰に忖度してもそれはあまり有意義な事ではありません。

なので氏が立てた排気量223ccのFTRというバイクにスパイクタイヤを履かせて宗谷アタックをするというプランに対して、私はやれ「スパイクタイヤは違法だ」とかなんだとかの下らない議論でマウントを取ろうとするよそ様の意見には与しませんでした。細かい法律、条例の解釈は省きますが確かに積雪、凍結していない道路で125cc以上のバイクを走らせると法律違反になる可能性が非常に高いというのが現実です。しかし違反でもなんでも二輪で雪道を走ろうとする以上、選択肢はスパイクタイヤ以外ありえないわけで(やれチェーンだの荒縄だのという議論は非常にナンセンスです)氏が「違法ではありません」と強弁するのを不思議に思いつつも生暖かく(動画を)見守りながら、「私も大晦日の夜に宗谷まで行ったら楽しいかな、自転車で!」などと勝手な妄想を繰り広げたりしておりました。

実は私、フルピン(スパイクタイヤ)を履かせたMTB(自転車)を所有しています。そのフルピン自転車に乗って厳冬の北海道、スタッドレスタイヤを履いた自動車でも恐る恐る走っているような氷点下のつるつる路面を趣味と健康を兼ねてとんでもないスピードでかっとんで走ったりしているわけですよ。多分地元住民の視点から見ても基地外な行為だと思います。ちなみにその自転車はどんな感じかというとこんな感じです。

これは私がMTBに履かせているのと同じシュワルベというドイツのメーカーが作っている自転車用スパイクタイヤの動画なのですが、路面状況によっては下手に二足歩行するよりもよっぽど滑りません。もちろん4輪と違い自転車もバイクもタイヤは2本しかついていませんので転倒するときは何をどう頑張っても確実に転倒しますが、それでも雪道を二輪の乗り物で走るということがどういうことかは一応それなりに承知しているつもりです。

そしてとうとう氏が宗谷アタックのため北海道に旅立つ日がやってきました。

この動画を見て「してやられた!(笑)」と思いました。まさかトランポ(これはマツダのボンゴかな?)にバイクを積んで、北海道に上陸しても完全に積雪している地域までバイクを運んでそこから宗谷を目指すとは思っていませんでした。実は私が「自転車で宗谷岬まで行ってうんぬん」というのも、当然のことながら車に自転車を積んで宗谷岬の手前まで行き、そこで何食わぬ顔で自転車に乗り換えて「やったー!俺はチャリで宗谷に辿り着いたぞ!!」なんていうどっきりネタとして企てていたものですから「してやられた」となった次第です。故にネタとしては美味しい所が無くなってしまいましたので、この動画を見た瞬間私のチャリ宗谷アタック計画はあとかたも無く消滅しました(笑)

さて北海道に到着した氏は雪を求めて北上し上富良野町に到着します。そこで初の雪上走行にトライするわけですが。

いくら何でもこりゃアカンでしょ。自分に対しても他人に対しても危険であることを承知の上で雪道を走ろうというレベルではない。せめて硬い砂利道や海岸のふかふかな砂浜で走行練習しておくとか何かやりようはなかったのでしょうか。
北海道では冬に走っているバイクは郵便局の人のスーパーカブくらいしかいません。それはスーパーカブが雪上走行をする上でトータルで最も有利だからです。それは足つきの良さだったり、車体の軽さだったり、はたまた厳冬地での運用実績であったりノウハウの豊富さだったり、それに125cc以下であれば路面状況に関係なくスパイクタイヤ装着が合法であることとかです。まあ確かカブで北海道に上陸して全行程を自走で宗谷を目指すよりも、合法性にこだわったというスタイルを貫いて途中まではトランポで移動、途中からFTRで移動というほうが確実に安全ですし楽です。しかし動画を見てこんな調子では先が思いやられる・・・と思っていたら案の定でした。

北海道民、特に私が住んでいるような豪雪地域?の住民にとっては10センチの積雪なんて雪が積もったうちには入りません。ましてや郵便配達と新聞配達のカブは雪が降ろうが積もろうがとにかく毎日仕事をしなければならないわけで、雪道を走る前提で計画を立てている以上この程度の事は想定してしかるべき状況です。それは動画のコメント欄で多くの人が「郵政カブ」「郵便局の配達の人のカブ」と繰り返して書き込んでいた理由とも重なります。

ですが午後4時でいったん引き返す選択をした事自体は大正解だと思います。北海道は日没が早く、午後5時にはもう真っ暗になってしまいます。そんな中何十キロも先の次の目的地まで、バイクのライトだけで走行を継続というのは紛れもなく自殺行為です。その理由としては、視認性が極端に落ちる冬季間は夜間になると他の車両はライトで他車を認識して走るという現実があるからです。バイクの一灯のライトを見た対向車はそれをバイクと認識せず、左右のライトがひとつに見えるほど遥か彼方を走行している車だと誤認します。いやそれは夏でも同じじゃないかという人もいるでしょうが、北海道の積雪地域でのドライバーの共通認識としては冬季間、郵便局のカブ以外のバイクは路上に存在しないことになっています。ましてや日没以降走っているバイクが存在するなどということは想像の埒外です。それはもう警察官がいたら職務質問してきてもおかしくないレベルでの例外的な事象なのです。

もちろん冬でも夜でもバイクで走るのはその人の自由です。ただ他の車がそれを想定していると期待する事が非現実的なのです。そして刑事的、民事的な過失責任がどうであれ、車と衝突して命を落とすのはいつでもバイクのほうであることを私達ライダーは忘れてはいけません。

そんなこんなで士別市まで無事帰還した氏。温泉に入って明日以降のプランを練っている様子です。

そして天候と相談しつつ「行ける所まで行って、行けるとこで泊って」という安全第一なプランで進むようです。動画を通して観ているこちらも賢明な判断に一安心です。

しかし、

「(宗谷まで)行っても何もないですからね。何も意味ないよ、自己満足なだけで」

そんなことは出発する前からわかりきっていたことでしょうに。何故雪国の厳しい自然環境道路状況に直面した途端にそんなことを言い出して、せっかく自分達がチャレンジしている冒険の価値を自ら下げてしまうのでしょうか。意味がないなんて事は無い、チャレンジすることは立派なことだよ!そう思った瞬間、アニメオタクな私の脳裏には「オネアミスの翼 王立宇宙軍」の名シーンが浮かんできました。それは管制塔がロケット打ち上げ中止決定をやむなく下した直後、パイロットであるシロツグ・ラーナットが管制塔と交わした通信の場面です。

管制塔「いいからすぐにそこから降りてこい。止むを得んだろう、悔しいのはわしも一緒だ。今度こそは上手く行くと思ったんだがな。仕方がない引き上げよう。下らんことだ、命を掛けてまでやって割が合うようなものじゃない。諦めよう」

シロツグ「ちょっと待てよ、俺は止めないぞ。何が下らないことだよ。ここで止めたら俺達何だ?ただのバカじゃないか。ここまで創ったものを全部捨てちまうつもりかよ?今日の今日までやってきた事だぞ!?下らないなんて悲しいこと言うなよ立派だよ、みんな歴史の教科書に載るくらい立派だよ!俺はまだやるぞ、死んでも上がってみせる。嫌になった奴は帰れよ!俺はまだやるんだ、十分、立派に元気にやるんだっ!」

なんだ。私の書いた内容って、この台詞のパクリじゃないか(笑)

でも多くの人から「危ない、迷惑、影響力が強いので他の人たちが安易に真似したりするかもしれない、北海道を舐めてる」などと動画のコメント欄で散々余計なお世話を焼かれたあとでの発言になりますから、言うべき言葉としてはもう少し慎重に選ぶべきだったのではないかと。でもビールをおいしそうに飲んでいる氏を観ていると、滅多に飲まないお酒を私も飲みたい気持ちになってしまいました。ほのぼの動画、Goodではないでしょうか。私は自分では宗谷アタックをやろうとは思わないですし他人に勧めたりもしないですが、それでも事を成し遂げようとしている人のことは応援したいものなのですよ。

だが。覚悟することだ。気がつかなかった知らなかったじゃいけねえのよ。手足がなくなることも、寝たきりになったり・・・死ぬことも。そして、生きてるってこともな!・・・・・と、昔喫茶店のマスターが言っていた台詞を(またしても)パクリつつ、オチもヤマも意味もなく今回のつぶやきを締めくくるのです。とほほ。

バーチャル車屋さんケインは、二宮祥平ホワイトベースの宗谷アタックを応援しています!

 

 

 

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