GRヤリスが失敗する理由

2021年1月追記:本記事は2020年1月時点のものですが、改心してGRヤリス推しになったので色々記事を書いてます。下記リンクからチェック!http://www.unlimitedracingjapan.com/blog/category/grヤリス/

はいどうも、バーチャル車屋さんのケインです。

最近GRヤリスがなにかと話題になっています。欧州では受けそうな3ドアホットハッチですが、果たして日本では売れるのか?ぶっちゃけた話で言えば私はあまり売れないと思います。

その一番の理由は価格です。価格を無視して性能優先でGRヤリスを購入するというのなら、選択するべきグレードは456万円のRZ High-performance・First Edition一択となります。なぜならその下のグレードとなるRZ First Edition(396万円)には前後LSDが付いていないからです。ハイパフォーマンスエディションは前後トルセンデフが標準装備であり、走行性能を語りたいのであればLSD無しのグレードを選ぶというのは問題外です。

もちろんアフターパーツの機械式LSDを組み込むという選択肢もあるでしょうが、そもそも現時点ではそのパーツ自体が市販されていません。仮に購入したとしても前後2基で30万円+組み込み工賃が必要となり、そのコストを考えるとハイパフォーマンスエディションとの価格差はほぼ帳消しになってしまいます。

機械式LSDに慣れたドライバーの視点から見た場合トルセンLSDに対して不信感が湧くのは仕方がないことだと思います。しかしGRヤリスのテストカーは前後ともトルセンLSDでセッティングされているとのことから、マッチング的にも機械式LSDの優位性は価格ほどは無さそうです。納車されたばかりでテストデータもなにもないGRヤリスをわざわざ全部分解して一から機械式LSDを組み込むくらいなら、最初からトルセンLSD付きのハイパフォーマンスエディションを選択するほうがどう考えても賢いと思います。

では456万円の車を買ったとして、その車が3気筒274馬力で所有する満足感が得られるでしょうか。私の個人的な意見としてはあまり得られないと思います。自動車においてエンジンというものは所有欲の大きな割合を占める重要な要素であること全くは疑いのないところです。その視点でGRヤリスのG16E-GTSという新開発エンジンを見ていくと、このエンジンの弱点は10.5という圧縮比の高さにあると気が付きます。

トヨタはおそらく市販車として許されるレベルの耐久性を持たせた上でたった1600ccの排気量から274馬力を絞り出すために、相当ギリギリのセッティングをしているのだと思います。おそらくアフターパーツでブーストアップする余地はほぼ無いはずです。事と次第によっては274馬力は欧州仕様だけで、日本国内仕様は260馬力くらいまで下げられるかもしれません。そう予想する理由はヨーロッパのハイオクガソリンと日本のハイオクガソリンのオクタン価の違いです。日本のハイオクのほうがオクタン価が低く、ノッキングを起こしやすいのです。どちらにしても圧縮比10.5では、これ以上の大幅なパワーアップはまず見込めません。参考までにAE86で例を上げると昔ハイコンプ仕様と呼ばれた92後期エンジンで圧縮比10.3、5バルブ4A-G前期で10.5です。時代が違うので一律同様に比較はできませんが、10.5という圧縮比は昔のNAハイコンプレッションエンジンに匹敵する圧縮比なのです。この圧縮比でターボエンジンが成立するのですから技術の進歩って恐ろしいものですね。

もう少し参考例を出すと、FA20直噴ターボエンジンは2000cc、300馬力、圧縮比10.6。スバルレヴォーグやWRX S4などに搭載されているエンジンですがこちらのエンジンも圧縮比の高さからほとんどブーストアップする余地はありません。ところがインプレッサなどに搭載されていたEJ20ターボエンジンですと同じ2000cc308馬力でも圧縮比は8.0であり、チューニングでパワーアップするマージンが十分残されています。ノーマルタービンでも+50馬力、純正置き換えのいわゆるポン付けタービンなら+150馬力くらいまで比較的低コストで狙えるでしょう。その「余地」が重要なのです。

ちなみに80スープラでお馴染み2JZ-GTEエンジンは圧縮比8.5。スカイラインGT-RのRB26DETTも8.5。R35GTRのVR38DETTでも圧縮比9.0と、ターボエンジンがブーストアップなどで狙えるパワーアップの安全マージンと圧縮比は基本的に反比例するものなのです。

GRヤリスを新車で買って274馬力で我慢するほうがいいのか、もっと安く中古のランエボやインプレッサ系を買って自分好みにチューニングするのか。はたまた新車で86やBRZを買ってターボチューンなりスーパーチャージャー装着などをするか。それともFFの標準グレード6MTヤリスを買って純正GRパーツでフルドレスアップするか。・・・それだったら価格差で車高調やマフラーなんかも好きなだけ買えちゃいますよね。ST205セリカGT-FOURなんかを探してみるというのも夢がありますね。このように456万円の予算があるならば結構な選択肢があるのです。それでもあなたはGRヤリスを選びますか?

個人的には楽しく走りたいだけならば、現行スイフトスポーツが最もコストパフォーマンスに優れていると思いますヨ。

GRヤリスが失敗する理由” に対して6件のコメントがあります。

  1. ??? より:

    結局お前の予想はオオハズレ!
    それどころかGRヤリスは多くの車好きを魅了し、チューニングの可能性も秘めた素晴らしい車でしたw

  2. 匿名 より:

    貧乏脳内スペックオタの炎上商法乙です

  3. unlimitedracingjapan より:

    >>???さん
    思ったよりもエンジンに余力があってびっくりしました。将来的にはノーマルタービンでも300馬力後半が普通になるかも。3気筒で背圧が低いのがアンチノッキング性にかなり貢献しているのかもしれません。

    >>匿名さん
    炎上?ぜんぜんしてないですよ。なんなら燃やしてください(笑)

  4. かめ より:

    RCグレードに機械式LSD入れる選択肢はどう思いますか?
    RZハイパフォーマンスは高すぎて・・・

  5. unlimitedracingjapan より:

    >>かめさん
    コメントありがとうございます。全然アリだと思います。むしろそれがイチオシです!
    リセールバリューは確かに下がりますが、一番お買い得なのがRCなのは間違いありませんね。

  6. より:

    ある意味非常に「的を得た御意見」だと思います。
    私も一時期本気でRCの購入を検討し契約段階までいった人間ですので分かりますが後から仕上げていくとかなりの金額になっちゃって結局、割高に感じるRZと変わらないどころか寧ろ高価になるんですよね…おまけに何の予告もなく契約を取り消された時点でTOYOTAには不信感しかなく寧ろ今は「買わなくて良かった」とすら思えます。
    あまり人気のなかったST205より普及はしないと思います。

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