解体屋さんと古い車を守れ!もぎ取りパーツ販売ecoひろばに部品はアルヨ!

車を自分でメンテナンスする人にとって、部品の調達というのは常に頭を悩ませる問題です。新品は高いし、ネットオークションではすぐに届かないし。そんなとき必要なパーツを直接解体車両の中から探して、自分では外して買ってこられる解体屋さんがあったらとても便利だと思いませんか?


実はあるんです。先日もちょっと欲しい小物部品があって、北海道ではとても有名な「自分で自由にパーツの取り外しが出来る」解体屋さんに行ってきました。その名もARUYOという解体屋さんです。敷地内に常に500台以上の在庫がある素敵なトキメキワンダーランドです。勝手にリンクを貼ってしまいます。http://itamisyaryo.com/実は去る2012年、この解体屋さんが閉店の危機に晒されました。その理由は悪名高き「自動車リサイクル法」のせいです。 その時のお話を少ししたいと思います。

*********************************
いつものように工具を持って入り口をくぐろうとすると、「ちょっとお待ちください」の声が。どうしたのかと思うと、なんと諸事情により自分での部品の取り外しがダメになったとの事。必要な部品は従業員が有料で取り外すので必要な部品が見つかったら教えてください、という風にシステムが変わったようです。「ええっ~~~!」片道1時間以上かけてここまで来たのに。でも一体どうして?こちとらプロですから(何の?)事情も聞かずに手ぶらでは帰れません。すると・・・書いてもいいのかな?書いてしまえ。同業者が同じようなシステムの解体屋を新規にオープンしようとしたところ許可が下りず、それに腹を立てた業者が「何でARUYOは良くてうちはダメなんだ!」と行政にねじ込んだとの事。それでARUYOに行政指導が入ってしまい、現在色々と調整中らしいのです。ここで一体何が問題なのかを説明するに当たっては、自動車リサイクル法という悪法の2005年施行時の大混乱について語らなければなりません。これはあまり知られていないことですが、自動車リサイクル法が開始されリサイクル券の発行が始まりだした2005年前後、行政の無知と不手際で大変な騒動が起こりました。それはなにかと言うとこういう風説の流布があったのです。「解体屋さん以外の人は、自分の車だろうが何だろうが一切廃車から部品を外してはならん!」

これはどういうことかと言うと、解体業の許可を得た事業者以外は、たとえ車屋だろうと個人だろうと、使用済み自動車からタイヤ、ホイール、オーディオ等以外の部品を外してはいけないということなのです。部品と言っても車のエンブレムや車高調、ライトのバルブに至るまで絶対に外してはいけないという常識的にありえない恐ろしい話です。そんな話が当時まことしやかに語られていたのです。

結局このことは、部品を外す対象となる車の持ち主が「この車は使用済み」と自分で定義するまでの間は、実質的に廃車だろうが部品取りだろうがその車は「まだ使用中の車」という解釈がされることとなり、「使用済み自動車」について定められている自動車リサイクル法の適用除外となるということで解決しました。あたりまえです。例えばどうしてフルチューンしたエンジンをボディが廃車になっただけだという理由でただで解体屋さんにくれてやらなければならないのですか。この悪法が定められた時には法律を考えた人は「古い車に乗り続けるために部品取り車をストックしている個人や車屋」というものを全く想定していなかったとしか考えられません。

そしてもうひとつ解説すると「自動車リサイクル法」施行で解体業の許可条件が厳しくなり、野ざらしで積み上げたらダメとか、解体場所は地面がコンクリートで覆われていないとダメとか、雨が降っても廃油、廃水が一滴たりとも地面に落ちないような仕組みにしないとダメとか、過剰ともいえる環境規制が解体業者には課せられました。この条件を満たすことが出来なくて、小規模な解体屋さんは次々と廃業せざるを得なくなりました。

で、今回のARUYOの件です。ここは自動車リサイクル法が施行される前から「お客様が自分で部品をもぎ取り」というスタイルで営業してきました。現在の法律的にはグレーゾーン(というかアウト)ですが、既に許可を得ているという部分でそのままもぎ取りスタイルで黙認されてきたのだと思います。

ところが、例のバカ法律ではたしかに「解体業(者)以外の部品取り」を明確に禁じています。これは解体を行う者の一元化を図り、部品のリサイクル率を上げるという趣旨で決められたことだそうです。でもこれは素材としてのリサイクル率にしか関心のない官僚が頭の中で考えた「ぼくが考えたさいきょうのエコロジー」でしかないのです。

確かにちまちまとパーツを剥ぎ取るより流れ作業的にばんばん車を解体し、流れ作業的にフロンを回収して、エアバッグを回収して、単価の低いパーツや需要の少ないパーツなど細かいものはまとめて全部シュレッダーダストにして処理してしまえば、見かけ上のリサイクル率は上がるかもしれません。でもそれは全然エコロジーではないです。この流れの前提には、古い車を潰してその原材料を新しい車の製造に流用するという考え方だからです。

ちょっと考えればわかることですが、一から新しい車を作って10年後にリサイクルに回すのと、古い車でも部品を交換しながら20年乗るのとでは、いったいどちらがエコロジーでしょうか。もちろん古いものを大事に使い続けるほうがエコロジーに決まっています。

でも「自動車リサイクル法」に則ってバンバン車をリサイクルしていくと、古い車を走らせるために必要な細かい部品、例えばエンジンルームの中にある小さなセンサーとか、パワーウインドウのスイッチとか、足回りのアームとか、マッドガードとかの細かい外装とか、そういう「解体屋さんがわざわざ外して在庫しておく程の価値はないけれど、その車のオーナーにとっては必要なもの」が手に入らなくなります。そしてそういう部品がないと、古い車を維持することは出来ないのです。

もちろん国や自動車メーカーは、そういうパーツが欠品することでみんなが仕方なく新しい車に乗り換えてくれれば経済が回転して好都合ということなのでしょうが、そうは問屋が卸しません。車とは文化や歴史そのものなのです。古い乗り物を自分達が使い潰すだけでなく、きちんと受け取ったバトンを次の世代に引き継いでこそ自動車が文化として成り立つのではないのでしょうか。それがたとえスーパーカーであろうと国産大衆車であろうと、その車はその時代の生き証人なのだから。

そのためには例えリサイクルされなくても、車は車の形で解体車両として一定数保管されているべきです。そしてその部品を必要な人が必要な時に手に入れられる環境も大事です。

そういう意味ではARUYOの営業スタイルはアメリカのジャンクヤード的なもので、古い車を大事にする人にとってはかけがえのない存在なのです。こういった場所を一律法規制で潰していくというのは、法の趣旨のエコロジーとはまるで正反対です。何とかならないものでしょうか。

一人でも多くの人にこの問題について考えてたいただければ幸いです。

********************************

以上が当時私が訴えた内容なのですが、現在は少々システムと環境が変わったものの我らがARUYOは健在です。

まず解体業法に適合させるために、今までもぎ取り用車両を置いてあった地面を全てコンクリートで舗装しました。いったいどれだけお金が掛かったのだろうか・・・

そして解体スペースに入場する人にはIDカードの携行を義務付けました。これは多分「解体業者として(一時的に)作業に従事する者」と「そうでないただの見学者」を区分するためだと思います。

また、オイル・フルード・クーラント等液体が流出する恐れのある部品だけは自分で外してはいけなくなりました。もちろんスタッフに依頼しておけば、後日きちんと外しておいてくれます。

車いじりが大好きの方がもしも北海道に遊びにくることがあらましたら、千歳空港からわずか10kmの場所にこの「夢のようなワンダーランド」はありますのでぜひ一度遊びに行ってみてはいかがでしょうか?

解体屋さんと古い車を守れ!もぎ取りパーツ販売ecoひろばに部品はアルヨ!” に対して3件のコメントがあります。

  1. 尾張憲明 より:

    お尋ねします E24系GTクル-ズ以上のバックドアガラスはありませんか

  2. unlimitedracingjapan より:

    ホーミーかキャラバンですか?当方は部品商ではないので持っていませんが、ガラスだけ欲しい、取り付けはご自分でされるというのでしたら近所の中古車解体業者に車検証持参で来店してお問い合わせいただくのが一番かと思います。その業者に在庫がなくても全国ネットが繋がっていますのでだいたいの部品は適価で手に入るはずですよ。

  3. 尾張憲明 より:

    早速のご返事ありがとうございます いろいろと当たってみたいと思います

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。