GRヤリスのブーストアップは危険?

GRヤリスも最近納車時期が繰り上げされてきているなどで流通台数が増えてきており、アフターパーツメーカーの動きが一段と慌ただしくなってきています。

そんな中で今回はGRヤリスのブーストアップについて考察していこうと思います。

GRヤリスに搭載されているG16E-GTSエンジンは仕向地により2種類あり(おそらくECUのセッティングの違いのみ)、国内仕様はオクタン価95指定で272馬力・トルク370Nm、欧州仕様はオクタン価98指定で何故か261馬力・トルク360Nmと差があります。これは日本国内のハイオクガソリンと欧州のハイオクガソリンの違いによるものなのですが、オクタン価が高い欧州仕様のほうがパワーを出せそうなものなんですけれどね。謎です。



さて現在ブーストアップする手法としてはHKSのパワーエディターを使うか、ドイツのDTEシステムのブースタープロorパワーコントロールを使うのがお手軽だと思います。どの手法でも圧力センサーの信号を見かけ上低く補正した疑似信号を送ることによりECUに対して「もっとブーストを上げろ」と要求することでブーストアップを果たしています。ではHKSのパワーエディターの仕様を見ていきましょう。

引用元:https://www.hks-power.co.jp/product_db/electronics/db/27365

ブーストを0.2キロ上げてピークで21馬力が上乗せされています。カタログスペックに単純に上乗せするなら293馬力です。

これに比べてドイツのDTEシステムのパワーコントロールを使い圧力センサーと可変バルブタイミング信号に擬似信号を送り補正したところ31馬力上昇しています。ただし欧州仕様の車体なので292馬力なんですけれどね。

引用元:https://www.chiptuning.com/toyota/yaris-p21-pa1-ph1-2020/1-6-gr-4wd-gxpa16-261ps-192kw-1618ccm/powercontrol.html

ところがこのDTEシステムの国内代理店のサイトだと、下位モデルのブースタープロでも307馬力、パワーコントロールだと323馬力にまでパワーアップすると記載されています。ちょっと盛りすぎな気がしませんか?

データに信頼性のあるHKSのテストデータだとノーマルはシャシダイで235馬力ですので、DTEシステムのパーツも同条件で測定したらそんなにびっくりするほどの数値は出ないと思われます。それにドイツで使っているハイオクガソリンは掛け値なしにオクタン価98以上なので、そのセッティングのまま国内流通のオクタン価96以上のハイオクガソリンで走らせるのは若干不安が残るところです。(一説には国内のハイオクはオクタン価100近いオーバークオリティとの話もありますが、スタンドによってかなりのバラツキがあると考えられます)

ところでそもそもの話なのですが、サブコンといってもこれはあくまで圧力センサーを騙しているだけのパーツなので、昔で言うところのHKSのFCDの発展版のようなパーツです。これだと入っている空気を少なめに偽装するので燃料を吹く量にも変化が出てしまいます。もちろん最近の純正ECUは賢すぎるのでブーストアップが0.2kくらいなら影響は出ないのでしょう。ですがいくら背圧の低い3気筒エンジンといえど、過度のブーストアップは間違いなくノッキングを発生させます。なので現時点では単純なブーストアップでは10~20馬力のアップ、プラスVVTの補正を入れたとしても31馬力アップが安全マージンを考えると限界なのではないでしょうか。事実登場がほぼ確定しているGRMNヤリスもブーストアップがされた状態で300馬力前後と言われているのがその裏付けかと。

今後は単に圧力センサーの信号を偽装する方法ではなく、メインECUの解析が進むことで適切に燃料セッティングと点火時期の調整までできるようなフラッシュエディターやフルコンの登場が期待されます。

もっとも、正直に言えば一般のドライバーが車重の軽いGRヤリスでパワー不足を感じることはまず無いような気もしますけれどね。しかし人間というのは100馬力くらい上がっても一週間もすればすぐ慣れてしまう恐ろしい生き物ですので(笑)、各メーカーのパワーアップ競争はしばらく続くかもしれませんね。

 

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